こんにちは。日本の理学療法士のRieです。0度を下回る寒い日が続いていますが、身体の体調等壊してないでしょうか。OMPTにいらっしゃる患者さまに、私のことを覚えていただけて、日々うれしく思っています。さて今回は膝のお話をしたいと思います。みなさん一度は膝の不調を感じたことがあるのではないでしょうか。膝は脚の衝撃を吸収する大事な部分です。スポーツをされる方、40代以上の方が多くこのような症状を持っています。ではまず膝関節の解剖から・・・

 ○膝関節の解剖

anterior knee pain 1膝関節は大腿骨(➀だいたいこつ・femur)、脛骨(②けいこつ・tibia)、膝蓋骨(③しつがいこつ・patella)からなる。大腿骨の遠位端には、内側顆 (ないそくか・medial condyle)と外側顆(がいそくか・lateral condyle)という2つのふくらみがある。膝を90度に曲げ、膝蓋骨の下方の両側を指で圧迫すると、これらの顆の一部に触れることができる。内側顆と外側顆の前面には、浅い凹みがある。これを膝蓋面(しつがいめん・patellar surface)と呼び、膝蓋骨につながっている。脛骨の近位端から約1.3㎝遠位の脛骨前面にはざらざらした突起、脛骨粗面(けいこつそめん・tibia tuberosity)があり、ここには膝蓋大腿靭帯(膝蓋腱patellar tendon)が付着する。膝蓋骨はほぼ三角形で、膝蓋骨の裏には関節面(articular surface)があり、大腿骨の膝蓋面につながる。

anterior knee pain 2膝の構造と機能は非常に複雑で、関節腔は1つであるが3つの関節からなる。(1)大腿骨の内側顆と脛骨の内側顆との関節、(2)大腿骨の外側顆と脛骨の外側顆との関節、(3)膝蓋骨の裏面と大腿骨前面との関節で、(1)と(2)を脛骨大腿関節(tibiofemoral joint)、(3)を膝蓋大腿関節(patellofemoral joint)という。これらの関節は滑膜性関節で、関節の表面は関節軟骨に覆われ、これにより摩擦を減少させ、力を分散し吸収する。関節内部は、人体で最も広い滑膜(かつまく・synovial)で覆われており、その外部は関節包(④かんせつほう・capsule)で包まれている。滑膜の一部にはヒダ(plica)と呼ばれるものがある。関節包は多くの靭帯によって安定しており、特に重要なのは、内側・外側側副靭帯、前・後十字靭帯である。膝関節の内側にある内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい・medial collateral ligament MCL)は、大腿骨の内顆から走り、関節包と関節包の線維に終わる。関節包線維は内側半月の縁を脛骨の内側顆に付着させる。膝関節の外側には、外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい・lateral collateral ligament LCL)があり、大腿骨の外側顆と腓骨頭(ひこつとう)をつないでいる。前十字靭帯(⑤ぜんじゅうじじんたい・anterior cruciate ligament ACL)は、脛骨の前顆間区(ぜんかかんく)から上・後・外側へ走り、大腿骨の外側顆の内側後方に付着する。前十字靭帯は、大腿骨に対する脛骨の前方偏位を防いでいる。また、膝関節の回旋、内反、外反ストレス、伸展時の過伸展のコントロールを補助する。後十字靭帯(こうじゅうじじんたい・posterior collateral ligament PCL)は脛骨の後顆間区(こうかかんく)から、上・前・内側へ走り、大腿骨の内側顆の外側前方に付着する。後十字靭帯は、大腿骨に対する脛骨の後方偏位を防止する。また、他の靭帯とは異なり屈曲時に緊張し、膝を安定させる機能があると言われている。膝関節の安定性を高め、膝の機能を助けている構造に、半月板(はんげつばん・meniscus)、滑液包(⑧かつえきほう・bursa)、腸脛靭帯(⑨ちょうけいじんたい・iliotibial band)がある。半月板には、内側半月板(⑥ないそくはんげつばん・medial meniscus)と外側半月板(⑦がいそくはんげつばん・lateral meniscus)がある。これらの半月板は線維性軟骨でできており、脛骨の内側・外側の上関節面にのっている。半月板は中心部より周辺部が厚い形状をしており、粘弾性があるので、負荷がかかると膝関節の関節面積を2倍に広げ、接合性を増大することで衝撃吸収に役立っている。さらに、半月板が関節面から離れることで関節の潤滑性が増大する。膝関節の周囲に多数の滑液包がある。滑液包は滑膜で内張りされた結合組織でできた袋で、摩擦を減らすために関節液(かんせつえき・synovial fluid)が入っている。関節液は関節内に少量あり、無色透明で、粘り気があり、関節がスムーズに動くのを助ける潤滑油のような働きをしている。関節の動きに滑らかさと弾力性を与え、関節の軟骨に栄養を与える働きもある。腸脛靭帯は腸骨(ちょうこつ)の前方から起こり、大腿骨の外側を下走し、大腿骨の外側顆、大腿骨の後面、膝蓋骨、脛骨の外側顆に付着する筋膜性の靭帯である。腸脛靭帯の線維の前方付着によって、膝関節がわずかに屈曲している場合は伸展させるが、40度以上屈曲している場合は膝関節をさらに屈曲させるように作用する。腸脛靭帯はヒト特有のものなので、直立姿勢に特異的に適応しているように思われ、膝側面を支える重要な構造物である。さらに膝蓋大腿関節と脛骨大腿関節の間には膝蓋下脂肪体(⑩しつがいかしぼうたい・fad pat)という脂肪組織があり、摩擦を減らし、潤滑をよくする働きがある。

脛骨大腿関節は一種の蝶番関節で、主要な関節の動きは屈曲(flexion)、伸展(extension)である。さらにこの関節は、わずかに内旋(I/R)および外旋(E/R)する。

膝関節を12種類の筋がまたいでおり、膝の運動性を高めるとともに、安定性を与えて靭帯を補助している。最も重要な筋肉の支持は、前方では大腿四頭筋、後方ではハムストリングである。外側ハムストリングである大腿二頭筋によって膝外側の支持がわずかに行われ、鵞足(がそく・anserinus)構成筋である半腱様筋(はんけんようきん)、薄筋(はっきん)、縫工筋(ほうこうきん)によって膝内側のわずかな支持がなされる。

 

○膝の前部痛(anterior knee pain) とは??

解剖で述べたように、膝には様々な組織があり、膝の前側の痛みと言ってもたくさんの原因が考えられ、いくつか同時に発生していることが多くみられる。膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)の問題を始め、軟骨組織(なんこつそしき)、軟骨化骨(なんこつかこつ)、滑液膜(かつえきまく)、脂肪体、関節包、腱と痛みを誘発する部位もさまざまで、基本的には使い過ぎによって発生するといわれている。

膝は屈曲伸展が主な動きであり、人が歩く、階段を上り下りする、走るなどの運動に床からの衝撃を吸収する重要な役割を果たしている。そのため、膝関節には大きな筋肉がまたがっており、この筋肉を協調して使うことで効率的な運動が可能となる。しかし、膝の痛みが出現する人は、膝関節の効率の良い運動を失い、どこかに負担を掛けている。

では、どのような体勢をとることで、膝の痛みを出現するのか、簡単な方法で体験することができる。

anteior knee pain 3例えば・・・スクワットで膝の負担の違いを感じることができる。

⓵背中をまっすぐに保ったまま膝のみを曲げる、空気イスのような方法

⓶トイレに座るように、お尻を後ろに突き出しながら膝を曲げる方法(右図参照)

どちらかの姿勢を長く続けることで膝の前側に痛みもしくは、違和感を感じることが出来たどろうか。⓵の方法は、膝の前、腿の前あたり、つまり大腿四頭筋を主に使い、その筋肉が疲労してくるのを感じることが出来る。また⓶の方法は、腿の前だけでなく、腿の後ろ(ハムストリング)やお尻の筋肉(大殿筋)も使用している感覚を感じることができる。つまり⓵のような姿勢・運動を繰り返すことで、膝の前の筋肉ばかりを使い、筋肉が様々な組織を引っ張り、膝の前部痛が出現に繋がる。

また、膝に側方からの外力がかかり、筋肉のバランスが崩れて組織を傷めることもある。その原因は、足関節が不安定な問題か、股関節の筋力の問題である。股関節は、屈曲―伸展、外転―内転、外旋―内旋と3方向の動きがあるが、関節や筋力低下の影響でこれらの動きに異常が起きて、膝へ影響を与えることがある。

anterior knee pain 4例えば、片足でスクワットをしてみると、膝の安定を保つことのできるお尻の筋力があるかどうか簡単にしることができる。片足のスクワットの理想の形は、足指の2番目の方向に膝が曲がり、股関節から足先まで垂直線を引ける状態である。しかし、股関節の外側の筋力が低下すると、骨盤が傾き、膝の位置を保つことが出来ず、外側もしくは内側から外力がかかり損傷につながる。足関節のバランスの悪い場合も、片足のスクワットをすることで、チェックすることができる。このような影響から、歩くことや走る際に、繰り返し膝に負担を掛けて以下のような障害が現れる。

  • 膝蓋骨不安定症(しつがいこつふあんていしょう・patella instability)

生まれつき不安定な場合と加齢により膝蓋骨を保護していた組織が弱くなり膝蓋骨が脱臼しやすくなること。

  • 膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう・patellofemoral osteoarthrosis)

加齢や膝の使い過ぎによる軟骨が擦り減り、骨棘(こつきょく)ができることで痛みが出現すること。

  • 膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょうchondromalacia patella)

膝蓋骨裏側の軟骨が、大腿骨とこすれて、炎症を起こして軟らかくなったり、ふくらんだり、亀裂が入ったりするため、ゴリゴリ音がなる、痛みがでるなどの症状が出現する。

  • タナ障害(plica syndrome)

膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、滑膜ヒダが膝蓋骨と大腿骨の間に挟まり、炎症を起こし、腫れや痛みが出る。

  • 有痛性分裂膝蓋骨(ゆうつうせいぶんりしつがいこつpainful patella partita) ※一般的な病気ではない

お皿が割れたように2個以上に分裂して、動かして大腿四頭筋を使用したときに痛みを生じる。

  • 関節水腫(かんせつすいしゅ・hydrarthrosis) ※他の障害に伴う症状

関節内の関節液が異常に増えてしまい、膝が腫れ、痛みやだるさが出現する。

  • 膝蓋腱炎(しつがいけんえん・patellar tendinopathy) ジャンパー膝(jumper’s knee) ※とても一般的な障害

ジャンプなどの動作で膝(しつ)蓋(がい)腱(けん)への負担が蓄積し、炎症を起こし、膝蓋骨の下に痛みが出るもの。

  • 腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん・iliotibial band friction syndrome) ランナーズニー(runner’s knee)

腸脛靭帯が、運動時に骨と擦れて摩擦が生じることで炎症が発生し、膝の外側が痛いこと。

  • 膝蓋下脂肪体炎(しつがいかしぼうたいえん・inflammation of infrapatellar fat pad)

膝蓋下脂肪体が外傷や繰り返しの膝に負荷のかかる運動によって損傷を受け出血を生じ、組織が肥大し線維化することで柔軟性を失う状態となり、腫れや痛みを生じる。

これらの症状・障害を合わせて、膝の前部痛(anterior knee pain)という。

 

○リハビリテーション

病態はいろいろ混同しているが、膝関節内に炎症があり、動きづらさや不安感を生じ、また前述したように発生機序は同じなため、リハビリに関してはほぼ同様のことを行っていく。膝の前に痛みがある場合の一般的なリハビリテーションを症状の段階に分けて紹介していく。

痛み 腫れ 歩行 階段 軽い運動 スポーツ
Phase 強い 強い × × ×
Phase 弱~強 弱い (下り) × ×
Phase 弱い 弱い ×
Phase 弱い 弱い

 

Phase1(歩行:困難、疼痛:強い、腫脹:強い 軽度の場合このPhaseは通過)

アイシング

アイシングは、炎症による血管の透過性や細胞の新陳代謝を減少させる効果があり、疼痛の軽減や腫脹を改善する。

運動後に痛みや腫脹がある場合は、アイスキューブでのマッサージを5分、もしくはアイスパックを膝の上に置いて20分程度冷やす。

 

超音波

超音波は振動が軟部組織に伝わり、血流の増大、痛みの軽減、浮腫の軽減、関節可動域の改善などの効果が得られる。設定方法によっては、深部で熱を発生させ温熱効果も可能なため、炎症度合によって選択する。

 

リンパマッサージ

膝の腫脹により膝から下の循環が低下し、足の浮腫みや倦怠感、疼痛を引き起こす。そのため、下肢に溜まった老廃物を心臓の方に戻すためにセラピストによりリンパマッサージを行う。

受傷者自身では、仰向けにて膝から下を椅子または枕に乗せ、高く保ち、腹式呼吸を繰り返す。これにより足のリンパから繋がるお腹にある太いリンパ管の灌流量が上がり、下肢のリンパ管が流れやすい環境になる。

 

ストレッチ

anterior knee pain 5膝の完全な曲げ伸ばしができないため、筋肉が完全に伸長する機会がなくなり、伸長性の低下や循環が滞る。そのため、膝下にタオルや枕など伸ばせる範囲まで伸ばし体を前傾させて腿裏を伸ばすようにストレッチする。反動はつけず、気持ちがいい程度の痛みを腿裏に感じる程度で30秒ほどキープする。

 

筋力トレーニング

anterior knee pain 6膝に痛みが出ている原因として、膝周囲の筋力低下および股関節周囲の筋力低下があげられる。痛みが強い時期に関節を動かしての運動は不快や恐怖心もあるため、等尺性収縮(とうしゃくせいしゅうしゅく)による関節運動のない筋収縮を選択する。また大腿四頭筋の等尺性収縮は、関節包や脂肪体などの動きも改善するという報告がされている。大腿四頭筋の等尺性収縮は、膝の下に枕やタオルを置いて、膝裏でそれを押すように力を入れる。

anterior knee pain 7また根本的原因となる股関節周囲や足関節の筋力トレーニングを行い、膝にかかる負担が減るように進める。特に大殿筋(だいでんきん・gluteus maximus) 中殿筋 (ちゅうでんきん・gluteus medius)や股関節外旋筋群(こかんせつがいせんきんぐん・E/R muscle)の筋力低下と膝の前部痛の関係があるといわれている。2013年の米国整形外科理学療法の冊子では図のような5つのエクササイズをすることが推奨されている。C,D,Eに関しては、膝を床に着いたり、膝に重力や体重がかかる状態なので、疼痛の度合を見て、他のPhaseにて行っていく。

 

日常生活トレーニング

歩行中に痛みがでて、痛みを避けようと変な動きをすると反対の足や腰などを痛め、2次的な障害が起こる。そこで、出来るだけ自然な形で、痛みなく日常生活を送れる方法をセラピストと探していく。

歩く際は、痛めている足と反対の手で杖をつくこと。また、膝蓋骨の不安定感がある場合などは、サポーターの使用も進める。

 

 

Phase2(歩行:可能、階段:特に下りが困難、疼痛:弱~強、腫脹:少)

アイシング

引き続く腫脹・疼痛に対し、炎症による血管の透過性や細胞の新陳代謝を減少させる効果がある。

 

超音波

超音波は振動が軟部組織に伝わり、血流の増大、痛みの軽減、浮腫の軽減、関節可動域の改善などの効果が得られる。設定方法によっては、深部で熱を発生させ温熱効果も可能なため、炎症度合によって選択する。

 

リンパマッサージ

下肢に溜まった老廃物を心臓の方に戻すためにセラピストによりリンパマッサージを行う。

受傷者自身では、仰向けにて膝から下を椅子または枕に乗せ、高く保ち、腹式呼吸を繰り返す。これにより足のリンパから繋がるお腹にある太いリンパ管の灌流量が上がり、下肢のリンパ管が流れやすい環境になる。

 

徒手療法

徒手療法とは、各系(感覚器系・結合組織・神経系・関節系・循環系・内臓系など)を評価し診断した上で最も適するアプローチを選択する治療手技である。膝の痛みの場合、膝関節内の軟部組織の炎症や機能低下があるので、軟部組織(関節包、脂肪体、滑膜など)モビライゼーションを施行する。これは軟部組織の動きや滑りを整えて、膝の曲げ伸ばしの動きがスムーズに行えるように促すテクニックである。また関節モビライゼーションという関節にゆっくり細やかな運動を繰り返し与え、硬直した関節部分を動くように回復させるテクニック施行する。始めは振幅の小さい範囲で行い、関節の動きの改善および関節周囲の循環改善を目的とする。またマニュピレーションといい、神経筋骨格系の機能不全に対し高速度で振幅の小さい関節運動を加えるテクニックを施行する場合もある。

 

関節可動域訓練

anterior knee pain 8膝の痛みにより関節を動かさないで生活することで、関節の動きが悪くなるのとともに、膝関節の循環、また潤滑液として働く関節液の回りも悪くなる。関節液が膝全体に行き渡らないことで、膝の動きが悪くなるという悪循環が生まれる。そこで、始めは他動から、少しずつ自分の力も使い関節を動かしていくことが重要となる。方法としては、膝裏を抱え手の力で膝を曲げることや、仰向けにてセラボールに足を乗せて、ボールの転がりを利用し膝を曲げ伸ばしすることなどがある。

 

筋力トレーニング

大腿四頭筋の等尺性収縮や臀部周囲の筋力トレーニングも引き続き行っていく。先ほど紹介した臀部周囲のエクササイズのC,D,Eも可能であれば始めていく。

それに加え、階段動作など、腿の前の筋肉と後ろの筋肉を同時に協調して使用できるよう、スクワットを取り入れる。この際、始めに体験していただいたように、トイレに座るようにお尻を突き出してスクワットをすることで、腿の前と後ろおよびお尻の筋肉を使用し、膝の前に負担を掛けない。

 

日常生活トレーニング
階段を降りるなど、日常生活場面で痛みがでて、痛みを避けようと変な動きをすると反対の足や腰などを痛め、2次的な障害が起こる。そこで、出来るだけ自然な形で、痛みなく日常生活を送れる方法をセラピストと探していく。

階段の上りは痛くない足で上り、痛い足を揃える。下りは痛い足で下り、痛くない足を揃えることや手すりを常に使用することを進める。

Phase1に引き続き、膝蓋骨の不安定感がある場合などは、サポーターの使用も進める。

 

足底板処方

膝の内外反ストレスは、足関節の不安定性のアライメント不良や不安定性が原因の場合もある。そこで足底板により足のアライメントを改善し、膝にかかる負担を軽減させる。また足のアライメントが正されることで、歩行中の股関節周囲筋の反応も変化する。

セラピストが外側ウェッジや内側アーチのパッドを処方し、一人一人の体にあったものへ調整する。通常患者が所有している靴を調整するが、踵のすり減りが酷い場合や革靴などの硬い靴しかない場合は新たに歩きやすい靴を購入してもらうことがある。

 

 

Phase3(歩行:可能、日常生活動作:不可な面もあり、疼痛:動作時)

超音波

超音波にてさらなる関節可動域の改善を図る。この時期には炎症も落ち着いておるため、深部で熱を発生させ温熱効果にて組織が伸長させる。

 

徒手療法

徒手療法にて、軟部組織の正常機能な機能を促し、関節運動がスムーズに行われるよう施行する。

 

関節可動域訓練

日常生活で、膝が深く曲がらないことで不便がでることもある。例えば、高い段差への昇降や、しゃがんでものを取ること、和式便座を使用することなどが挙げられる。最終可動域に近づくよう、人の力を使い膝が深く曲がるよう可動域訓練を行っていく。正座をして、お尻と踵の間に枕などを入れることでも、深く曲がる角度の獲得が可能である。

 

筋力トレーニング

臀部周囲の筋力トレーニングも引き続き行っていく。

それに加え、トイレに座るようにお尻を突き出してスクワットも継続し、回数を増やし、速さを早いものと遅いものを分けて行い、筋力増強、筋持久力増強を図る。

 

日常生活トレーニング

anterior knee pain 9日常生活で支障がでる動作をセラピストと確認し、可能な方法を習得していく。

例えば、しゃがんでものを取る際は、痛い足を後ろに引き、ランジのような形でしゃがむ。こうすることで、痛い足は大きく曲がらずに体を床に近づけることができる。縦に足を広げて不安定に感じる場合は、手をどこかに添えるなど、工夫をする。

 

 

バランストレーニング

バランストレーニングは、膝前後の筋肉の協調性の低下や内外反のストレスに対しての神経―筋の反応の低下に対して行う。

痛みが軽減して軽い運動が可能になれば、不安定なボードやマットの上でスクワットをして筋の協調性の向上をはかる。また、不安定な床では、容易に内外反ストレスが膝にかかる環境のため、側方からのストレスに対し立位を耐えられるようにトレーニングしていく。

 

ダイナミックトレーニング

anterior knee pain 10日常生活の応用的な動作やスポーツ復帰に向けて、全身運動時の筋の協調性向上や神経伝達速度向上目的に大きい動きのトレーニングを行う。

例えば、歩幅を狭くしてランジ動作を行い支持基底面が小さい中バランスを取りながら運動することや、ボールや輪投げなど手の動きに集中しながら足の動きを伴う運動を行う。またモンスターウォークという中腰状態で左右に歩く運動(図参照)をすることで、膝の前後筋肉の協調性および股関節周囲の筋力の向上を図ることができる。

 

 

Phase4(階段などの日常生活動作:可能、スポーツ復帰時期)

・徒手療法

モビライゼーションやマニュピレーションは以下のトレーニングを開始する前に、関節の細かな動きを確認し、動きの悪い部分に施行する。

 

バランストレーニング

Phase3に引き続き行い、負荷量を上げていく。片足でのバランスを取り、手を床にリーチ、輪投げを入れ、ボール投げなどをする。

 

ダイナミックトレーニング

Phase3に引き続き、筋肉の協調性および神経伝達速度の向上目的に行う。

前に紹介したモンスターウォークも、膝上にセラバンドを巻くことで負荷をあげることもできる。

 

スポーツトレーニング

スポーツ動きにより近い動きを行い、速度の速い神経―筋の反応や運動感覚を再構築するために行う。

走る、ステップ、ジャンプなどスポーツに必要な基本的な動きから、組み合わせてスポーツ動作により近い動きまで、アライメントを確認しながら行う。ジャンプ着地時の膝のアライメントに注意し、鏡を使用し、自分自身で体を調整しながら行う。

 

長く読んでいただきありがとうございました。ご自分の症状に合致する点はあったでしょうか。寒い時期に、急に運動することもこのような痛みにつながります。不調を感じたら、お医者さんに相談してみてください。膝に負担を掛けない体を、PTと一緒に作りましょう。